Slave・・・・・訳すと「奴隷」です。
Slave song(奴隷の歌)と銘打って出版された歌集の表紙です。
この章では、呼称の歴史を簡単に追ってみましょう。
奴隷制時代には「Slave」から始まり、「Negro」そして「Colored」という言い方も用いられるようになる。1950年頃から、公民権運動が盛んになった。その頃から「Black」という呼び方が出てきた。1970年代からは、「Afro-American」「African American」という呼び方が出てくる・・・・。
という感じです。
さて。で、「ニグロ・スピリチュアル」なのですが、この「ニグロ」というのは蔑称なのでしょうか?(ちなみに「Nigger」は蔑称とされています)
この書籍にもありましたし、ネットでゴスペル関係の方の記事にもありましたが、「Blackなどと呼ばれたくない。Negroと呼んでくれ」という黒人の方もおられるようです。
しかし、現在、ウィキペディアでは「ニグロ」という言葉は「ネグロイド」にまとめられています。
そう、私たちがモンゴロイドであるように。
(そういえば、例えば「モンゴ」とか略されて「モンゴのくせに」とか言われるとムカつきますね・・・・)
しかし、白人の血が入ったりして(いろんな映画にも出てきますが、ご主人は奴隷の女性を夜の相手にもして、子どもを産ませていたのです)混血になると、ネグロイドとも呼べなくなり・・となると、アメリカの「有色」の人はやはり「アフリカ系アメリカ人」=Afro-American、African American、と呼ぶのがしっくり来る、といったところでしょうか。
どちらにせよ、呼ばれる側の気持ち次第、というのは大事です。
私たちが決めることではない。
でも、繊細な方から気にしない方までいろいろいるし、これはいいけどこれは嫌というのもそれぞれでしょうし、総合的にみてどうなんでしょうね。
21世紀の今、どうなんでしょうね。
一応そのような問題提起はしておいた上で
この、私の記事で重要なのは、「ニグロ・スピリチュアル」という音楽ジャンルとしての呼称なんですね。
音楽に特化して言うと、先祖が産んだ、このジャンルに「誇り」を持っておられるのでは?ということを思います。
ホワイトじゃないんだ、ニグロの歌ってきたスピリチュアルなんだ、ということを思います。
著者は、この本の中で、このように書かれています。
「歴史的、社会的、文化的背景を理解した上で、さらにアフリカ系アメリカ人たちの考え方を配慮し、その昔、彼らの祖先であった奴隷たちが創り出した歌、現在のアフリカ系アメリカ人の祖先たちが命をかけて創造した偉大な文化遺産を、あえて、本来の呼び方である「ニグロ・スピリチュアル」あるいは省略して「スピリチュアル」と呼びたいと思う」
私は・・・・「スピリチュアル」と呼んでいきます。
現在日本におられる黒人の方、もしご意見あればメール戴けるとありがたいです。
思うように英会話出来ないので(情けなや・・・)出来れば文章で戴けると、必死で訳して理解に努めますので。
これは映画「ミシシッピー・バーニング」の冒頭のシーン。時代は1960年代。「Colored」という言葉が使われています。
ちなみにこのシーンのバックに流れていたのは、マヘリアのコレです。
派生しますが、この曲は後々、アレサ・フランクリンによって、キャロル・キングの名曲「You've got a friend」と合体され、こんな素晴らしいゴスペル曲になりました。
奴隷売買のポスター
上の二枚の写真は、奴隷売買のポスターです。ひとつは「Slave」
ひとつは「Negro」という言葉を使っています。 本当に、モノ同然の扱いですね。
我が日本では・・・・
「だっこちゃん」「カルピス」
そして「ちびくろさんぼ」
物議を醸して消し去られていきました。
1988年発足の「黒人差別をなくす会」がかなり動いたということです。
差別なのか・・・・どうなのか・・・・
見解の分かれるところでしょうか。
では、これは?
今の日本です。「ニグロ」というワードで検索したら、こういうのがたくさん出てきます。
そう、ヘアスタイル。
ニグロって呼ぶんですね・・・
何の抵抗も無しにそう言えるのは差別意識がないから?とも言えるかもしれませんが・・・・逆に黒人のカッコよさを真似たい、という憧れ???
でも私はぎょっとしてしまいました。
歴史を知って尚、軽くそう呼べるか!?と問いたい気持ちにはなりました。
皆様どうお感じになりましたか?